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Dr.DAC2 レビュー OPAMPを交換してみる。その2 BB(TI) OPA627/637編 (2007/09/13)

  さて、今回は、バーブラウン(TI)のオーディオ用高級OPAMP、そしてお高いことで有名なOPA627と、非Unity-Gainで、さらに高速なOPA637です。
  どちらも、Single OPAMPでして、Dr.DAC2にはそのまま載せることはできません。
  お値段も、一個3千円~4千円、Single OPAMPなので、1か所に2つ必要、かつ変換基板代もかかりますので、5個所、10個揃えると、Dr.DAC2自体がもう一台買えてしまうお値段、かつ、半田付が必要になりますです。
  しかも、FDO部分のスペースの関係上、工夫しないと、DIPタイプのシングルOPAMP(OPA627/637なら、AP/BP/AM/BM)を載せるのは大変と、いろいろ制約がありますが、その音は、別格といえるほどだと思います。
  揃えるには、コスト、半田付などいろいろハードルがありますが、前作、Dr.DACでは難しかったOPA637も使用可能なので、ぜひ試してみていただければと思います。

Dr.DAC2 Single OPAMPを取り付けるには?

 SingleタイプOPAMPとは、1回路入りのOPAMPです。Dr.DAC2に標準で搭載されているNE5532N、OPA2604AP、OPA2134PAはDualタイプOPAMPで、2回路入っています。
 回路数はもちろん、当然ながらピン配列も異なっており、Dr.DAC2にSingleタイプOPAMPを挿した場合、OPAMPおよびDr.DAC2が壊れる可能性があります。
 でも使えないわけではありません。日本では入手が大変なのですが、Single to Dual変換アダプタというのが海外では市販されています。
 そちらを使って、Single OPAMP2個を、DUAL OPAMP1個のピン配列に変換して使うということになります。

 ただし、Dr.DAC2の基板実装上の関係で、FDO部分には、DIPタイプの変換アダプタを使用すると、変換アダプタ同士がぶつかってしまったり、BrownDogのアダプタだと低すぎて、水色のボックスフィルムコンデンサに干渉してしまいます。
 接触不良の原因になりますので、この方法はお勧めできません。
 特に、OPA627/637、AD797などの高速、高精度OPAMPは、ノイズに敏感です。
 接触不良で、ノイズが混入して発振したり、そのまま使うとDr.DAC2に悪影響を及ぼしますのでご注意を。

 じゃあ、FDO部分にはSingle OPAMPは使えないのかというと、方法はあります。
 表面実装タイプ、SOP8のOPAMPと、BrownDogのSOP対応の変換アダプタを使用する方法です。
 この場合ですと、変換アダプタの上下にSOPを実装するので、変換アダプタの大きさもICソケット程度と干渉せずに取り付けられます。
 ただし、発熱の高いOPAMPですと下になるOPAMPの熱を逃がしづらいので大変です。

 一番いいのは、FDO部分3か所用の専用サブ基板があるといいのですがねぇ。
 まあ、気が向いたら設計してみるのも手ですなぁ。

 BrownDogの変換基板などについては、Dr.DACのページでも紹介しています。
 OPAMP変換アダプタはこちら(別ウィンドウで開きます。)

 ※OPAMPの交換をしても、EgoSystemsさんの 製品保証はOKのようですが・・・基板などを傷つけたりしてしまったら、製品保証対象外となります。
当たり前のことですが、以下記載の内容を行う場合は、自己責任でお願いしますね。
 

交換3 FDOおよび、ヘッドフォン部分をOPA627に交換してみる

 ぶりちゃんの手持ちに、SOPタイプ、OPA627AUのDIP変換が2セット、DIPタイプ OPA627BPが2セットありますので、FDOとヘッドフォンOPAMP部分を交換してみます。

 FDO前段2か所にOPA627AUを、FDO後段1か所には、丁度、市販のピンヘッダで高さがあるOPA627BPをいれました。
 ヘッドフォン部分には、BrownDog変換アダプタのOPA627BPを入れています。

 ううむ、やっぱり別格ですねぇ。
 OPA2604のときほどではないですが、やや中音域が持ち上がったように感じます。
 中音域の広がり、艶、揺らぎなどが感じられ、生楽器が得意なOPA627ですね。
 かといって、ヴォーカルなどがダメかというとそうではなく、女性ヴォーカルの艶、男性ヴォーカルの力強さなどもしっかり再現してくれています。
 高音域に関しては、シンバルのかすれ感がまったく感じられず、解像度もさらに上がっているように感じます。
 また、奥行き感、高解像度化によるシンバルの微妙なニュアンスも聴けています。
 高音域が輝いているように感じるのも顕在です。
 低音域に関しては、少々弱めに感じますが、解像度も高く、重低音もしっかり鳴らしてます。
 また、ベース、ドラムの音も分離がよく、しっかり聞き分けられます。
 全体的に、生音とシンセ、Wavetableなどによる音源再生が判別できてしまうのが面白いですね。
 生音のピアノやアコースティックギターはとてもいい感じです。
 ただ、スピード感に関しては、アタックの効きが通常という感じのため、あまり感じられない部分もあります。
 ゆったりした曲だとすごくマッチする感がありますが、ロック系やテクノなどはダメとかいうわけではなく、十分奏でます。
 クラシック、ジャズ、スローバラードなどはゆったりと聴けて、幸せな気分になれますです。

 また、ヘッドフォンまでのルートすべてをSingleOPAMP化したこともあり、もともとよいのですが、微妙に左右の分離感が上がりました。
 音の傾向はフラットからやや中音より、いわゆる"ドンシャリ"とは違いますので、そういう音を好む方にはDr.DAC2自体もあまりお勧めできないかもしれません。

 やっとDr.DAC改に近い音になってくれましたね。
 Dr.DAC2は解像度や左右の分離がとてもよく、その部分はDr.DAC改でも追いつけないのですが、OPA627+OPA637を載せていた部分が大きかったですね。

交換4 FDO/Line/ヘッドフォン部分をOPA637に交換してみる

 次は、FDO3か所をSOPタイプのOPA637AU 3セット、Lineおよび、ヘッドフォンをDIPタイプのOPA637BP 2セットに交換してみます。
 以前海外オークションで、OPA637AU 10個を購入できたので、手持ちでフルOPA637ができますが、1個4千円が10個と変換基板、送料など合わせると、やっぱりDr.DAC2が一台買えちゃいます(爆汗
 しかも、OPA627と違い、非Unity-Gainで、回路をきちんと設計しないと正常動作しませんし、さらに高速なため、ノイズにも敏感なので、はたしてDr.DAC2で動くのか・・・最初は疑問でした。
 でも、FDO部分のみ、Line、Headphoneのみで、残り標準でも問題なく動作しています。
 バッファを交換することで、OPA637が載った前作Dr.DACと違い、見越して設計されているのかもしれませんね。

 ぶりちゃんは、Dr.DAC改でも使用していましたが、ヘッドフォンだけしか交換できなかったこともあり、フルOPA637はとても楽しみでした。

  WMA Lossless(一部Pro Lossless)で、 TM Network、ゴダイゴ、ベルリンフィルのクラシック、トランス系(なぜかBeatmaniaのGenom Scream Long Version)、T-Squareや伊東たけし、Falcom、ARIA、See-Saw、FC版「火の鳥」、AC版「沙羅曼柁」など聴いてみましたが、ジャンルを選ばずオールマイティですね。

  OPA627の音の広がり、量感、揺らぎや、管弦楽器、ピアノ(アコースティク、エレピなどを問わず)の艶はもちろん、シンバル/ハイハットの解像度の高さ、コントロール感など・・・
  ベースのドライブ感、スネア/バスドラは重めの音は重く、軽めの音は軽く、残響のコントロール感までしっかり感じられますです。
  FM音源(MSX-AUDIO/PC-9801-86からYAMAHA DX7まで)の音もよく、極めつけはPSG音源(ファミコン)を聴いただけでPSGとわかるんですが・・・FMのアタック/ディケイ/リリース/サスティーンなどのパラメータの違いが感じられ、PSGの独特な音も感じられながら、一つの曲とし てのバランス、スピード感などは損なわれず、豊かにさえ聴こえてしまいますです。

 OPA627と比べると全音域でアタックのレスポンスが早く、スピード感が増した感があります。
 高音域のシンバルは応答が速いのですが、しっかりと余韻も感じられます。
 中音域は、OPA627譲りの音+スピード感、女性ヴォーカルの艶、歌い回しの表現もさらに向上し、楽器だけでなくヴォーカルもよくなっていますね。
 低音域は、ドラムのコントロール感、スラップベースの跳ねる感じがよく出ていて、しかもパワーも増していて力強いです。
 OPA627から一皮むけたような感じもあり、さらに解像度が高いとも感じられます。
 低音のパワーが増したこと、高音域の応答速度の向上などから、音域がよりフラットに感じられます。 

  そして、なにより感じたことが、これだけ変わっているようで、作られた音という感はまったく感じられず、これが自然で、じつはいままでだまされていたんだとしか思えないです。

 OPA627は別格と書きましたが、ぶりちゃんの個人的な感想ですと、さらに別格に感じますね。
 ほんと、OPA627とAD797のよいとこどりという感じがします。

  べたほめになってしまってますが、ぶりちゃんの駄耳ではこんな書き方しかできません(号泣
 デフォルト+OPAMP交換でここまでいけるとは・・・Dr.DAC改が隅っこに追いやられています。

 でも、 欠点は大いにあります。

 先に書いたコストの問題、そして入手経路がほぼ海外通販に限定されてしまうことです。

 OPA627やOPA2604APもそうですが、エージングに1か月以上かけてやらないとこの音は出ないです。

 そして、IV部(FDO前段2か所)の壊滅的な発熱量と残りの部分の発熱量。
 OPA627よりも高速なOPAMPですし、パワーもあります
  IV部のOPAMPなんて熱すぎて触れなくなっています。

 ぶりちゃんのDr.DAC2は、0.3mmのアルミパンチ板を切った天版に変更、PCの電源からとった8cmファン+ダクトで、サイドから常に風を当てています。

 とりあえず、手持ちのOPAMPが尽きてしまいました。
 AD797 10発とかもやってみたいのですが・・・資金が追い付きません。
 Dr.DAC2は変更できる箇所が多く、それだけ組み合わせも増えています。
 FDOのみとか、ヘッドフォンまたはLineのみOPA627/637でもよくなります。
 いろいろなOPAMPを入手してみては、随時追加していきたいとは思っていますが、その前に改造に走ってしまったらごめんなさいね。